2005年08月26日
塗り壁材としての珪藻土の危険性
《 続・シビアな問題のちょっとした調査−第7話 》
【8】 住宅で使われる塗り壁としての珪藻土の危険性の検討
では、前回のつづきで、万一結晶質シリカを含有する珪藻土が人体への危険性があると仮定して、結局どう判断したらいいんだ?ということを検討してゆきます。
すでに皆さんご理解いただいていると思いますが、今回の問題ではIARCをはじめとする各国の公式な判断も全て、大前提として『粉体としての結晶質シリカの長期多量曝露という労働作業条件』に対して警告を促し規制をかけているのでしたね。
ですから話しは単純なのですが、粉体として空気に浮遊しない限りは人体への影響はないわけです。
浮遊しなければ人の肺まで届きませんからね。
だいたいシリカじたいは無機質ですから身体に有害なVOCなど一切発生しませんし、その意味ではとても安心できる物質です。
例えば枕もとに水晶や御影石(みかげいし)などのIARCで発がん性がもっとも高いとされているシリカを置いて毎日寝ていても、健康でいられるはずです(笑)
そこでまず調べてみたのが塗り壁になる以前の珪藻土素材がどの程度の大きさ=粒の直径(粒径)なのかということです。
結果はその珪藻土の種類(産地や製造法)によってかなりバラつきがあり、もっとも小さい平均径で10μm、大きいもので35μmでした。
ちなみに話題の「浮遊粒子状物質」の環境省が定義しているところによれば『大気中に浮遊する粒子状物質であってその粒径が10μm以下のものをいう。』となっています。
珪藻土の平均粒径の一番小さいもので10μmですので大丈夫というラインではありませんね、それに「平均」粒径ですから、10μmより小さい粒径のものもあるでしょう。 でも珪藻土全般でいえば塗り壁になる前の状態であっても大半は浮遊しないと言っても誤りではなさそうです。
とはいえ、やっぱり浮遊する粒もあるでしょうから施工時水と混ぜる時などは作業者はマスクなどして注意すべきでしょう。
ではいったん塗り壁となり固形化した珪藻土がいったいどれほど「粉体」になるかと考えると・・・
珪藻土建材にもよるのでしょうが、経験上表面硬度をかなり硬くしている商品が多い(クレーム防止のため)ですので、ヤスリなどで故意に削らない限り、自然の状態で粉体になることは考え難いことです。
しかも一度固化したものですから、剥がれる時は周囲と一緒に剥がれることは想像に難くなく、10μmの粒径を保ったまま分離させることは、仮に意図的にやろうとしても困難な作業でしょう。
付け加えると珪藻土はその吸湿性が高いことが特徴ですから粒子は水分を含んで、重量が増すことも推測できます。
ここで私どもなりの結論(私見)を述べます・・・
常識的に考えて一度固化した珪藻土塗り壁が、規制濃度を満たすほど粉体を長期にわたり浮遊させることは不可能に近い。
・・・こう考えるのが普通でしょう。
あとは、珪藻土塗り壁を嫌う理由があるとすれば、施工時及び製造時(いずれもきちんと管理されていれば問題ありませんが)また解体時における「粉体浮遊」による曝露を心配するかどうかです。
しかし解体時の危険性は、話題のアスベストと混同すべきではありませんね、あれは「超軽量、超耐久性、超極細繊維」という特質があり、いちど浮遊させてしまうとずっと浮遊し続けてしまうから危険なのです。
解体時といえど、いったいどれだけ浮遊できるほど粉体と成り得るのか甚だ疑問ですが、 仮に浮遊したとしてもアスベストのようにずっと空気中に浮遊し続けるのはその組成からして難しいと推測します。(浮遊し続けなければ人へ多量の曝露は不可能)
